疫学と医療統計学と遺伝学と時々、大学院生活

疫学を専門とする大学院生の研究に関する備忘録的ページ。

日本人における集団の構造化(Population stratification in Japan)

こんばんわ。今日は以前の投稿でも取り扱ったGWASのcase-control studyで問題となり得る「集団の構造化(以下PF)」について書きます。今回は『Japanese Population Structure, Based on SNP Genotypes from 7003 Individuals Compared to Other Ethnic Groups: Effects on Population-Based Association Studies』という論文を取り上げて、日本人のPFについて記します。

概要

  1. この論文では、7003人の日本人の14万個のSNPsを対象としています。
  2. 多くの日本人は「本土」クラスタと「琉球クラスタに分割されます(図1)。
  3. もっとも「本土」クラスタと「琉球クラスタで違いが見られるのは、第6番染色体にあるHLA領域でした。
  4. 遺伝的な違いは、「本土」クラスタ内にも観察されている。(詳細は後述:図2)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2561928/bin/gr3.jpg
図1

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2561928/bin/gr4.jpg
図2

興味深い発見

概要の4つ目にも記載したが、図2にあるように本州の中にも若干のクラスタがあることがわかります。
近畿地方クラスタは図1のHan Chineseすなわち漢民族に近く、一方で東北地方のクラスタは右下に偏りがあり、それとは逆の傾向があります。
個人的に興味深いと感じたのは、関東甲信越が多様な集団の集まりであるということと、東海北陸クラスタが地理的には距離のある九州クラスタや北海道クラスタと非常に近接していることでした。

日本語による詳細な解説

この論文は2008年に理化学研究所の研究員によって発表されたものであり、日本語の解説もweb上に公開されています。
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/press/2008/20080926_1/20080926_1.pdf


20160915
RF