疫学と医療統計学と遺伝学と時々、大学院生活

疫学を専門とする大学院生の研究に関する備忘録的ページ。

Genetic model (遺伝モデル)とは

今回は特定の遺伝継承のパターンであるGenetic modelについて、記述する。
ここではよく扱われる4つのパターンの性質を定義する。

前提条件
  • AとBというアレルを持つマーカーMを仮定する。
  • マーカーMの遺伝子型は{G_0 = AA}{G_1 = AB}{G_2 = BB}と表記する。
  • アレルの頻度は{Pr (B) = p}{Pr (A) = q = 1-p}と表記する。
  • ここで遺伝子型{G_j}の頻度は{Pr (G_j) = g_j \ \ \ for \ \ \ i =0, 1, 2}とすると、{g_0 = q^2}{g_1 = 2pq}{g_2 = p^2}と表記できる(HWEの条件下で、近交係数Fが0の場合)。
  • 集団の中で遺伝子型が与えられた場合の疾患保有率を{f_j = Pr (case | G_j) \ \ \ for \ \ \ i =0, 1, 2}とする。
  • Bアレルをリスクアレルだと考える(仮定する)。つまり、{f_2 \ge f_1 \ge f_0}かつ、{f_2 \ge f_0}ということになる。

1. 劣性モデル(recessive model (REC))【{f_1 = f_0}の場合】

言葉で説明すれば、ABを持つ場合の疾患保有率がAAを持つ場合の疾患保有率が等しい場合のこと
つまり、劣性アレルA(リスクアレルではないアレル)を持つことで影響が同じだと考えるパターン

2. 優性モデル(dominant model (DOM))【{f_1 = f_2}の場合】

言葉で説明すれば、ABを持つ場合の疾患保有率とBBを持つ場合の疾患保有率が等しい場合のこと
つまり、優性アレルB(リスクアレル)を持つことで影響が同じだと考えるパターン

3. 相加モデル(additive model (ADD))【{f_1 = \frac{f_2 + f_0}{2}}の場合】

言葉で説明すれば、ABを持つ場合の疾患保有率はAAを持つ場合の疾患保有率とBBを持つ場合の疾患保有率の平均と等しい場合のこと
つまり、優性アレルB(リスクアレル)を持つことで影響が相加的に増すと考えるパターン

4. 相乗モデル(multiplicative model (MUL))【{f_1 = \sqrt{f_0 f_2}}の場合】

言葉で説明すれば、ABを持つ場合の疾患保有率はAAを持つ場合の疾患保有率とBBを持つ場合の疾患保有率の平方根と等しい場合のこと
つまり、優性アレルB(リスクアレル)を持つことで影響が相乗的に増すと考えるパターン


以上


参考文献

Gang Zang, et al. Analysis of Genetic Association Studies (2012) Chapter3-2. Genetic models



20160425
RF